スマートバンクへの投資

by 湯田 将紀

皆さんは、日々の支出をどのように管理していますか?

家計管理を最適化するため、日本には古くから家計簿をつけるという文化が存在します。家計簿は形を変えながら受け継がれてきましたが、現代においてベストな方法は確立されていないように思います。そういった中で、所得格差の拡大や決済手段の多様化、共働きの普及などのライフスタイルの変化といった急速な社会的変化の訪れにより、新しい家計管理の形を求めるニーズは日に日に高まっていると感じていました。

現代における家計管理の課題を解決し、豊かな社会の実現を目指しているのが株式会社スマートバンク(以下、スマートバンク)です。スマートバンクは、自社発行のチャージ式VISAプリペイドカードとシームレスに連携したアプリケーションにより家計管理を簡単に行えるサービス「B/43(ビー ヨンサン)」(以下、B/43)を提供しています。B/43は、ひとりで使う「B/43マイカード」と、ふたりで使う「B/43ペアカード」の2つのタイプが利用可能で、これまで課題であった、リアルタイムでの支出管理や、複数人での支出管理を実現するサービスです。

スマートバンクへの投資に至った理由は大きく事業領域とトラクション、チームの3つです。
先行してキャッシュレス化が進む欧米ではすでにチャレンジャーバンクが普及していますが、近年はミレニアル、子供向け、学生向け、法人向け、フリーランス、SMBに対して細分化された課題を解決するカテゴリー特化型のチャレンジャーバンクが登場し、市場を創造しています。私たちは、キャッシュレス決済の浸透率が30%※1を超えてきた日本においても、これらの参入角度でスタートアップが参入する余地があると考えておりました。B/43は夫婦やカップルの家計管理といった切り口からこの山に登ろうとしています。また、日本における共働き世帯の割合は60%※2を超えており、今後も伸びるセグメントで魅力的です。私自身も対象ユーザーとして日々の支出の共有や資産形成のやり方に課題を感じており、一緒に解決したいと思える領域でした。

創業者の堀井さんとは2019年に初めてお話をし、その後のディスカッションを経てこの度の投資に至りました。構想をお聞きした時から魅力的なサービスであるとは感じていましたが、リリース後のユーザーの反応は想像以上でした。3ヶ月利用ユーザーの継続率がほぼ100%であり、月次決済金額は毎月増加傾向であるといったデータから、「B/43ペアカード」が生活の基盤となりうるサービスだと感じられたことは今回投資を決断する上での重要なファクターでした。

堀井さんは、ユーザーの課題を的確に捉え、プロダクトとして市場に送り込む能力がピカイチです。初めてお会いした際には、海外のチャレンジャーバンクで発行したカードを遊戯王カードのデッキのように見せていただいたり、対象ユーザーの方々が封筒やノートを使って支出管理している様子を興奮交じりに説明されていたことを今でも覚えています。なかなか類を見ないパッションと、ユーザーに対する解像度の高さを感じました。フィンテックは貧テックと揶揄されることもあり、本当に世の中を良くするものなのか、疑問を投げかけられることもあります。しかし、堀井さん率いるスマートバンクであれば、世の中を真に良くするプロダクトが作れるのではないかと思いました。実際にその姿勢は私自身がB/43を利用した時にも感じました。結果的には勘違いだったのですが、利用している中で見に覚えのない決済履歴があった際、カスタマーサポートに問い合わせをしたところ、疑問を解消する返信をすぐにしてもらえました。担当の方は、自社で把握している範囲を超えて、自ら検索エンジンを使って問い合わせに対する回答を作ってくれていたと思います。その姿勢にとても感銘を受けました。献身的で人柄が良いチームというのは、お金を扱うチームとしては最高の特性を持っていると思います。またこの事業領域は、顧客獲得やライセンス取得のための体制構築、システム開発コストが一定かかることが想定され、難易度の高い領域であるとも思っており、高いレベルで実行できるチームである必要がありました。こういった考えから、スマートバンク社はベストなチームであると確信できたことも投資を後押ししました。

B/43が実現する家計管理は、資産形成のファーストステップに過ぎません。B/43も海外チャレンジャーバンク同様に様々な金融機能を持ち、資産形成をサポートする金融プラットフォームへと発展していく予定です。人々のお金の課題を解決し、世の中を豊かにするスマートバンク社とご一緒できることにとてもワクワクしております。

※1:「2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました(METI/経済産業省)」より https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220601002/20220601002.html
※2:「統計局ホームページ/平成27年国勢調査 ライフステージでみる日本の人口・世帯」より https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/life.html

スマートバンク 採用情報:https://smartbank.co.jp/transparent