ディベート日本一・弁護士を経て選んだキャピタリストの道~亀岡 千泰~

ディベート日本一・弁護士を経て選んだキャピタリストの道~亀岡 千泰~

Z Venture Capital(以下、ZVC)には、東京、ソウル、サンフランシスコの3拠点を中心に、様々なバックグラウンドを持ったメンバーがいます。グローバルで投資活動を行うキャピタリストにスポットをあて、人となりや普段の活動、それに仕事の哲学などを紹介する連載記事を始めます。

今回は、1月にZVCのアソシエイトとして加入し、メディア領域を担当する亀岡 千泰(かめおか・ちひろ)さんです。ディベート甲子園優勝、弁護士、コンサルティングファームを経て、キャピタリストの道を選んだ亀岡さん。

「突き抜ける力」「未来を実現するストーリーを起業家と作る」ーー亀岡さんが求める2つのキーワードに迫っていきます。

ディベート甲子園で全国1位に!しかしその反動で…

高橋
よろしくお願いします。今回は亀岡さんの人となりに迫っていきたいと思います。

亀岡
あんまり特徴がない人間なんで、引き出しはそこまで多くないです(笑)

高橋
ただ、過去には全国1位になった経験があるんですよね。

亀岡
はい。中学生の時に「ディベート甲子園」に東北代表として出場しました。2年生の時は残念ながら負けてしまったんですけど、それが悔しくて。しっかり鍛え直して、3年生のときには、団体戦でディベート甲子園を優勝し、リベンジを果たすことができました。

高橋
引き出しあるじゃないですか!本当にすごいですよ。この大会はどのように競いあって勝敗を決めているんですか?

亀岡
毎年ディベートのテーマがあって。私が中学3年生のときは「未成年の携帯電話使用制限」が論題でした。それをもとに、肯定側と否定側に分かれて対戦校とディベートをし、より多くの審判の票を獲得した側が勝利、という形です。

高橋
当時、自分がどのような話をしていたか覚えていますか。

亀岡
実はあまり覚えていないんですよ。夢中だったのかもしれません。ただ、その大会で最も活躍した生徒に贈られる最優秀賞ディベーター賞に、僕自身が選ばれて受賞することができました。

高橋
団体で全国一、個人で最優秀賞は相当突き抜けていますね。日頃、亀岡さんは人の話をよく聞いてくれる印象なので、かなりギャップがあります。

亀岡
身近な人の話に反論する弁護士やコンサルがいたら、かなり嫌なやつじゃないですか(笑)

高橋
そうですね。ディベート甲子園で優勝したあと、亀岡さんに変化はありましたか。

亀岡
あ、実は僕、ディベート甲子園で優勝するまではめちゃめちゃ喋る子だったんですよ。

高橋
へ~意外!

亀岡
どれぐらい喋るかというと、僕がうるさくてクラスの席替えが行われるような感じで。でも、3年生のディベート甲子園のあと、全く喋らなくなったんですよ。急に無口になってしまって。

高橋
反動がすごいですね。何があったんですか?

亀岡
中学生にしてこんなこと言うのも変ですけど、優勝したことで「喋る」ということに達成感が得られてしまったのかもしれません。少しでもかっこよく言うと、よく喧嘩していた方がプロのボクサーになって、喧嘩しなくなったみたいな感じですかね(笑)自己承認欲求が満たされてしまった感じだと思います。

高橋
そこまで燃え尽きる経験を学生の時にするのは貴重な経験だと思います。

亀岡
体験一つで人ってここまで変わるんだと思いましたね。とても貴重な経験だったと思います。

ピクシブの創業者、片桐孝憲さんから学んだ「突き抜ける力」の大切さ

高橋
これまで弁護士を3年、そしてコンサルを5年半経験して、ことし1月にZ Venture Capitalのキャピタリストの道へ。ベンチャーキャピタルへの関心はいつ頃からあったんですか?

亀岡
実は弁護士時代から興味はありました。法律事務所から転職を考えた時に、コンサル、ベンチャーキャピタル(VC)、スタートアップの3つの選択肢があって。その時は最終的にコンサルを選びました。コンサルを5年ほど経験してみて、次に自分が挑戦するならVCに飛び込んでみようかなと考えていました。

高橋
ZVCとの最初の接点は何だったんですか。

亀岡
最初は堀さん(代表)とのカジュアル面談でした。面談中は、私の質問をずっと聞いてもらっていましたね。当時、私が持っていたVCのイメージと現実とのギャップがあれば、そこですり合わせをしてもらっていたんだと思います。

高橋
カジュアル面談のあと印象に変化はありましたか。

亀岡
率直に面白そう!と感じました。自分が挑戦できる環境がある。とてもエキサイティングな環境だと前向きに捉えました。

高橋
実際に入社してみて、これまでのキャリアとは違うなと感じていることはありますか。

亀岡
それは個人の情報発信ですね。前職の弁護士やコンサルは、仕事柄あまりSNSで積極的に情報発信をやっている人がいなくて。秘密事項を持っているので仕方がない面があるんですが。それが急に自分で情報発信をしていかないといけない環境になって、「さあ、どうしよう」というのはありましたね。

高橋
情報発信で意識してることはなんですか?

亀岡
twitterに関しても、今はまだクオリティを求めるとつぶやけなくなってしまうので。その日話題になっているニュースに目を配って、そこから発信する内容を考えているという感じですね。やっぱり、自分を知ってもらうには情報発信がとても大切なので、今後も力を入れていくべきテーマです

ZVCに入って始めたtwitter「@ChihiroKameoka

(平日はメディア領域のニュースなどを中心に投稿。一方、週末は大好きなK-POPのライブの投稿が多め。ぜひフォローをお願いします)

高橋
これまで有名な起業家の方から、これから起業したいという方まで、様々な出会いがあったと思います。印象に残っている出来事もありそうですね。

亀岡
先日、堀さんのご紹介で、ピクシブの創業者である片桐孝憲さん(元DMM.com代表取締役社長)とお会いした時のことが印象に残っています

高橋
片桐さんとはどのようなお話を?

亀岡
私は普段からK-POP、マンガなどでオタクキャラを謳っているのですが、この時、堀さんから片桐さんに対して「亀岡さんは、結構オタクなんですよ」と紹介がありました。そこで私も片桐さんにK-POP、ヒップホップ、漫画、スニーカー、ゲームとオタクだと考えているものについてお伝えしたんです。そしたら片桐さんが「オタクにしては範囲広いですね。そんなに時間確保できますか。1つが浅くなってしまいませんか」のような話になって。

高橋
確かに。

亀岡
例えば私がスニーカーが好きという話をしていると、片桐さんから「どれほど買われるんですか?」と聞かれ、「AIR MAX 95だと色違いで3足持っています!」と答えると、「なんか思ったほど持っていないね」と。その後も会話は続いたのですが、最終的に片桐さんからは「それぞれがただのファンで、それは全然オタクじゃない」とダメだしされました(笑)

高橋
趣味や興味の範囲に留まっているよ、ということですかね。

亀岡
その時、「あ、自分は全然突き抜けていないんだな」と実感しました。それと同時に「突き抜ける力」の大切さをものすごく感じました。これまでは割と自分は好奇心の範囲が広いほうで、1つに絞るというのは難しいと思っていました。ただ、やはりどの世界でも何かが突き抜けている人のほうが面白いし、興味を持ってもらえると改めて思いました。「これは本当にオタクです!」と言えるところまで、時間とお金を積極的に投資していこうと考えています。

高橋
中途半端ではなく、突き抜ける存在。1つのキーワードですね。

亀岡
ここだけの話、片桐さんとお会いしてスニーカーの話をしたあと、さすがに「ちょっと悔しいな」と思って。すぐに好きなK-POPアーティストとスニーカーブランドのコラボ作品を見つけて、買ってみようと思ったら値段が9万円!

「買おうかな、どうしようかな」と悩んでしまい、結局買うのを断念してしまったことが、自分の突き抜けの足りなさかもしれません(笑)

未来を実現するストーリーを起業家と作る」

高橋
最後に、亀岡さんが求めるキャピタリスト像について聞いていきます。

亀岡
引き出しが多いキャピタリストです。スタートアップは「こんなときどうすればいいんだ」という時に周りに相談したいと思います。そのとき、相談を受けた自分自身に見識や経験がないと、サッとアドバイスすることもできないので。スタートアップが困ってる時にさっと手を差し伸べられるキャピタリストになりたいと思ってます。あと自分には、これまでディベート甲子園優勝したり、弁護士やコンサルの経験もあったりするので、起業家の皆さんに寄り添い、未来を実現するストーリーを一緒に作っていきたいと思います

高橋
そういう意味で、このZVCの環境はどうですか?

亀岡
入社した時からかなり自由にさせてもらっていていますね。ソーシングも自由度が高いのはすごくいいところだと感じています。あと、これも大きなポイントですけど、Zホールディングスやソフトバンクが身近な存在にいて、IT業界のトップランナーとして幅広い事業展開をしているグループと、自分たちの支援先との連携の可能性があるというのも、面白いと思っています

高橋
これは他のVCにはないZVCの強みですよね。

亀岡
そう思います。今はGenerative AIが話題ですが、この「Generative AI×メディア」、「Generative AI×エンタメ」の分野で存在感がある会社に出資し、将来的にZホールディングスとのシナジーを出しながら、その企業が世界で戦えるスタートアップとなるべく自分自身も伴走していく、ということを考えています。ZVCの出資を通じて、日本を発展させていきたいですね。

高橋
亀岡さん、ありがとうございました。

亀岡 千泰(かめおか・ちひろ)
早稲田大学法学部、同大学院法務研究科修了後、西村あさひ法律事務所を経て、YCP Solidiance(コンサル・投資事業)に参画。西村あさひ法律事務所では企業法務の弁護士としてM&A・コーポレート業務に従事。YCP Solidiance では幅広いフェーズの企業に対して新規事業創出や戦略作成・経営改善等のコンサルティング業務に従事したほか、自社の投資部門において投資検討・実行・バリューアップ業務に携わり、投資先の取締役を務める。2023 年1 月よりZ Venture Capital に参画