Turingへの投資
Z Venture Capital株式会社(以下、ZVC)は、生成AIを活用した完全自動運転車両の開発に取り組むTuring株式会社(以下、チューリング)に出資します。
自動車産業は日本経済の基幹産業であり、製造業全体の製造品出荷額のうち自動車製造業が占める割合は17.1%で、自動車関連産業の就業人口は554万人、全就業人口の8.1%を占めるなど、日本国内における影響力は多大です。また、2022年の世界の自動車売上トップ10のうち4社が日本メーカー(ルノー日産連合を含む)であることからも、日本のメーカーが世界における存在感を示していると言えます。
一方、世界的にEVシフトと自動運転技術の進展が進んでいる現在、自動車産業は大きな変革期にあります。特に新しい領域であるEVと自動運転では、日本メーカーは十分な存在感を示すことが出来ていません。EVの販売台数ランキングでは、日本メーカーはトップ10に入っておらず、Teslaがカリフォルニアで実証しているような高度な自動運転は日本ではまだ見られていない状況です。
しかし、私はこの領域について、日本でも可能性を秘めていると考えています。
日本メーカーは、着実にEVと自動運転への投資を進めており、政府による自動運転の規制緩和も進んでいます。さらに、EV製造における水平分業化も進み、新興のEVメーカーが台頭しやすい環境が整っています。
私はこうした背景をもとに、LLM(大規模言語モデル)や複数種類のデータを元に高度な判断を行うVLM(大規模視覚モデル)のようなマルチモーダル生成AIの台頭によって、大きな技術革新が生まれ、完全自動運転(Lv5)の実現に大きな期待を寄せています。
このような市場環境の変化の中で、完全自動運転EVの量産を目指すのが、ZVCが出資するチューリング(東京都品川区、代表取締役:山本一成)です。
チューリングは、カメラから取得したデータのみでステアリング、ブレーキ、アクセルなど、運転に必要なすべての判断をAIが行うE2E(End-to-End)の自動運転開発を進めています。特に自動運転に特化した独自開発のマルチモーダル生成AI「Heron」の開発を行い、経済産業省によるGENIAC(競争力のある生成AI基盤モデル開発事業者)に選定されています。
また、チューリングの特徴として、自動運転AIだけでなく半導体設計も手掛けるなど、ソフトとハードの開発を同時に進めることで2030年までにハンドルのない完全自動運転車両の実現を目指していることが挙げられます。一見、壮大に見える世界観ですが、私はチューリングのCEOである山本さんからこのビジョンを聞いたとき、その世界観と実現に向けた熱量にすっかりと魅了されていました。経営陣である山本さん・青木さん・田中さんを中心としたチューリングのチームによって、モビリティの在り方を変える可能性は大いにあると信じています。
最後に。私自身はゴールド免許を持つペーパードライバーですが、将来的には、こうした運転歴に関わらず、世界中でみなが安心して自動車に乗ることが出来る世界の実現をチューリングが成し遂げてくれると信じています。これからもZVC一丸となってサポートし、新しい世界の実現に向かって全力で伴走していきます。