LayerXへの投資
By 湯田将紀
Z Venture Capital株式会社(以下、ZVC)は、「すべての経済活動をデジタル化する」ことをミッションに掲げるSaaS/Fintechスタートアップ「LayerX」のシリーズAラウンドに追加出資しました。
今回の追加出資は、LayerXが見る世界観の大きさなしには語ることはできません。
みなさん、日々の業務を想像してみてください。企業の請求書処理、経費精算、稟議、支払、税務・監査対応。こうした業務に多くの方が関わっています。そして煩雑な手入力作業がついてまわります。もしこれらが自動化されスムーズに流れていく世界を、あなたはどう考えますか?これはただの業務効率化SaaSではなく、企業にとってなくてはならないビジネスインフラであると考えています。
ZVCが最初に出資した2020年4月時点のLayerXは、ブロックチェーン技術を中心とした企業でした。しかし、その3ヶ月後に代表の福島さんから「お話があるのでお時間いただけますか」と連絡があり、ブロックチェーン事業からの撤退が告げられました。
福島さんの当時のnoteには、その意思決定の背景やそれを聞いたステークホルダーの反応などが詳しく説明されています。
ただ、ブロックチェーン事業の撤退後もLayerXが目指す世界は変わりませんでした。私自身も海外のFintechユニコーンなどをベンチマークにユーザーの課題を解決するイメージが湧き、すぐに納得ができました。そして何より、相当な覚悟を持って事業転換という戦略上の意思決定をした福島さんからは、これまで以上に強い自信を感じました。LayerXは福島さんの求心力をもとに力強いチームが誕生し、事業転換という大きな波を乗り越えてきました。そして日本のSaaS/Fintechスタートアップの中でトップクラスの事業成長を実現しています。
LayerXの目指す世界は壮大です。現在、法人支出管理サービス「バクラク」、デジタルネイティブなアセットマネジメント会社を目指す合弁会社「三井物産デジタル・アセットマネジメント」、プライバシー保護技術「Anonify」で組織横断のデータ利活用を目指すPrivacyTech事業の3事業が急速に立ち上がっています。
しかし、これは彼らが描く世界の入り口に過ぎません。デジタル化の本質は「データの流れを創ること」でしょう。そしてそれは、クラウド化によるトランザクションのデータ化からML/AIによる自動化といった順番で進んでいくと思います。LayerXはこの本質を追求し、「データを中心に複数プロダクトで体験を再構築」しています。先進的で難易度の高いアプローチですが、彼らの持つ構想力、実行力には日々驚かされており、「お金」の領域で真の意味での「デジタル化」を実現できる稀有なチームだと確信しています。
これからのLayerXの挑戦はきっと将来、我々が創造できないほどの素晴らしい世界を実現してくれることでしょう。