Dwilarへの投資

by Masaki Yuda

Z Venture Capital株式会社(以下、ZVC)は、越境与信プラットフォームを運営するDwilar, Inc.(以下、Dwilar)に対し、シードラウンドにおける出資を実施しました。Dwilarへの出資は、プレシードラウンドに続く2回目の投資となります。

*¹ 2024年の年間訪日外客数は年間で初の3,600万人台に到達し、過去最高を大幅に更新しました。また、*² 昨年10月末時点で、日本国内での外国人労働者数も230万人超となり、前年比12%以上の増加を記録しています。

観光・就労・留学と、多様な目的で日本を訪れる人々は増える一方、日本国内のクレジットスコアを持たないことから、賃貸契約や携帯端末の分割購入、それに銀行口座・クレジットカードの開設といった「生活インフラの入口」で苦労することが多いのが現状です。これは日本の与信システムが国内信用情報に依存し、海外クレジットデータを十分に活用できていない構造的課題が背景にあります。

このギャップを解消するのが、今回ZVCが出資するDwilarです。42か国の信用情報機関と主要オープンバンキングAPIを統合し、外国人が母国のクレジットデータをリアルタイムで提示できる越境与信プラットフォームを開発しました。サービス正式ローンチ(2025年2月)からわずか4か月で、すでに日米12社に導入され、Projected ARRは1.2億円、月次成長率300%という力強いトラクションを示しています。

不動産仲介会社や保証会社は、審査プロセスにDwilarのデータを組み込み、外国人顧客の成約率向上を実現しています。現時点の顧客課題に直結するプロダクト価値だけでも十分な成長ポテンシャルが見込まれる上に、連携パートナーの範囲は拡大し続けています。さらに今後は、与信判定にとどまらず、物件選定や契約事務を自動化するAIエージェントへ機能を拡張し、「生活立ち上げ」を一気通貫で支援するエコシステムの構築を目指しています。


代表取締役社長の中村嘉孝さんは、自身の移住経験で感じた「与信の不条理」を原点に、思考と実装を驚異的なスピードで往復させる起業家です。何気ない会話で生まれた仮説を元に、翌週には顧客検証を実施し、すぐに契約をまとめてくるその行動量と実行力には目を見張るものがあります。この高速ループこそ、市場とプロダクトの距離を限りなくゼロに近づける原動力であり、シード期において投資家が最も信頼をおける資質です。


「与信を通じて人の移動と挑戦をなめらかにする。」 Dwilarは多文化共生時代の社会を支える新たなインフラになると確信しています。Z Venture Capitalも、ともに未来を創れるよう支援していきます。


今回の出資にあわせて、DwilarとZVCの対談を実施しました。対談記事もあわせてご覧くださいhttps://zvc.vc/dwilar_zvc_interview/

Dwilarのウェブサイト: http://dwilar.tech

(出典)