【後編】PayPayはどこを目指すのか?誰もが使える金融とは

2018年に100億円キャンペーンで圧倒的なインパクトとともに登場したPayPay。
 
運営会社のPayPay株式会社はソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の共同出資会社であり、Z Venture Capitalのグループ会社でもあります。
 
前編では金融戦略本部長の柳瀬さんに、サービスローンチの裏側とローンチ後のグロース施策についてお話いただきました。
 
今後PayPayはどこに向かうのでしょうか。


【柳瀬将良(やなせ・まさよし)PayPay株式会社 金融戦略本部長】
ボーダフォン株式会社入社。Vodafone Group Marketing、ソフトバンクモバイル株式会社 プロダクト&サービス本部、SoftBank U.S. Inc. Product Strategy Manager、ソフトバンク株式会社/事業開発本部 フィンテック事業企画部長を経て2018年8月PayPayにジョイン。PayPayでは金融サービス(あと払い、ポイント運用、ほけんミニアプリ)、ミニアプリ(UberEats、PayPayモール、PayPayフリマ、Accelerator Programなど)を担当。


【湯田将紀(ゆだ・まさき)】
早稲田大学社会科学部卒業後、ヤフー株式会社に入社。企画、マーケティング、財務業務等に6年半従事した後、2018年10月よりZ Venture Capital(旧YJキャピタル)に参画。Z Venture CapitalではFintech領域を中心に投資業務に従事。2020年よりスタートアップとPayPayミニアプリ開発を目指す「PayPay Accelerator Program」を運営。過去には週刊金融財政事情「Fintech+(フィンテックプラス)」にてFintechスタートアップを紹介するコラムの連載を担当。

サービスローンチ時は「スピード」と「ユーザーファースト」を最重視

湯田
PayPayサービス開始後はプレスリリースを出し続けるなど、ものすごいスピードで仕事を進めていらしたんですね。PayPayが大切にしている価値観について、お聞かせいただけますか?
 
柳瀬
スピードの優先度はかなり高いです。極端なことを言えば、「社内の意思決定に許可はいらない。間違ったら後で然るべき対処をすればいい。」というスタンスをとっています。サービスが開発途上の段階でスタートし、加盟店が充分には集まらないうちにローンチしたのもこの価値観によるところが大きいですね。
 
一般的なマーケティング手法はユーザーインタビューやアンケートを重視しますが、PayPayはユーザー調査をそれほど重視していません。なぜなら、ユーザーはものがない中で「これが欲しい」とは言ってくれないからです。ひとまず出してみて、ユーザーの反応を見ながらアップデートする。それがPayPayのスタイルではないかと思います。
 
PayPayのApple Watch対応もまさにスピード重視の価値観を体現した対応でした。現場のエンジニアがあったら便利だよねと独自に作っていた機能を経営陣が発見して「すぐやろう」ということになり、最短でリリースしました。
 
そしてユーザーファースト。PayPayが実現したい「現金以上の価値」は、ひとまず決済ができれば十分、周辺サービスは後で開発をしていこうと考え、まずは誰でも決済できるシンプルなサービスを目指しました。
 
湯田
PayPayは大きな組織というイメージですが、仕事の進め方は少人数のスタートアップのようですね。コミュニケーションコストを下げるために工夫していることはありますか?
 
柳瀬
PayPayの経営会議は英語です。社員は圧倒的に日本人が多いですが、それは日本語を母国語としない方への配慮だけではありません。英語の方が、効率がよくなることもあるからです。
 
たとえばプレゼン資料を作るとき、日本語だといっぱい書きたくなりますよね。でも、英語なら母国語じゃないので、メッセージのコア部分だけを書くことになるのではないでしょうか。会議を英語ですることには、資料をシンプルにする効果もあると考えています。

PayPayで誰もが使える金融サービスを作りたい


湯田
今後、PayPayのサービスをどうしていきたいですか?
 
柳瀬
僕はPayPayの金融サービス担当なので、金融をよくしていきたいと考えています。何年か前に比べるとかなり使いやすくなったとは思うものの、まだまだ使いにくい部分はあると思います。
 
18歳未満の人が金融サービスを使うには保護者の承諾が必要だったり、与信審査が必要だったりしますよね。なにしろ証券会社も保険会社も、書類を書くのが大変です。必要書類を提出後に数週間お待ち下さいというのは当たり前。でも、インターネットサービスでそれはありえません。金融もインターネットのように誰もが使えるサービスにしていきたいです。
 
僕は自分の小学生の子どもにもPayPayを使わせています。やっているのはポイント運用がメインですけど。マイナポイントで、2万円のチャージで5000円分のポイントがもらえるキャンペーンがありますが、うちの子はそれを全部ポイント運用に回していました。半年で2倍になって、それでゲームを買っていましたよ。どういう仕組みでお金が増えているかは理解していないでしょうが、金融教育はそうした身近なところからはじまるのではないでしょうか。ポイント運用は24時間365日出し入れできますから、はじめたいときにすぐ取り組めるのもよいところだと思っています。

いまある課題をやり抜ける人の挑戦を求む


湯田
誰もが使える金融サービスを作るために、どのような人材が必要でしょうか?
 
柳瀬
ユーザーが気づいていない課題に気づける人、それから金融は規制が厳しいので法解釈を一生懸命考える人も必要です。まとめると、「いまある課題をやり抜ける人」ということになるでしょうか。
 
PayPayは社内で情報を公開すること、社員が情報にアクセスできるようにすることには情熱を注ぎますが、マニュアルを作って教えることはしません。「これ見ておいてね」というカルチャーです。サービス提供者である以上、社員も自社のサービスを実際に使うことがユーザーの理解につながると考えています。データの意味づけは自分でやってもらわないといけませんね。
 
湯田
PayPayほど、様々な仮説を立てられるビッグデータはありません。データを見ているだけで何時間も楽しめそうです。最後に採用候補者に向けて、メッセージをお願いします。
 
柳瀬
PayPayは国籍、バックグラウンドに関係なく多様な人材を採用しています。チャレンジできる企業であるために、見方が偏らないようにするためです。
 
またPayPayはソフトバンクをはじめとするZホールディングスの一員です。Zホールディングスのリソースを活用、アクセスできることも大きな魅力になるのではないでしょうか。
金融サービスをよくしていきたいという思いを持つ方は、ぜひお会いしましょう。
 
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