"このままじゃだめだと、感情を揺さぶられた" Repro株式会社 平田祐介氏
YJキャピタルでは、出資先支援の一環として”コーチング”に全力投球しております。2020年初めよりビジネスコーチング分野でのリーディングカンパニーである株式会社 コーチ・エィ と共同でプロジェクトを遂行しています。キャピタリスト自身もコーチングスクールに通い、コーチング資格を取得し、出資先に対してコーチングを提供しています。今回は、先日リリースした「【YJキャピタル×コーチ・エィ】スタートアップ向けコーチングプログラムの活動報告」の詳細編として、実際にコーチングを受けた起業家の方のインタビューをご紹介します。
本日登場する起業家は、Repro株式会社 代表取締役 平田祐介さんです。YJキャピタルでも出資させていただいているSaaSマーケティングツール「Repro」を運営されています。今日はどんなお話が伺えるのでしょうか、早速お話を伺いましょう。
【平田 祐介(ひらた ゆうすけ)】1980年、東京都生まれ。戦略コンサルタント出身のシリアルアントレプレナー。大手コンサルティングファームに入社後、主にメーカーに対して経営戦略立案支援や成長支援業務に従事。2011年から複数の事業の立ち上げに関与したのち、2014年にReproを創業。世界66ヵ国7,300以上のサービスに導入されているCE(カスタマーエンゲージメント)プラットフォーム「Repro(リプロ)」の提供を行う。
"「コーチング受けてる暇あったら仕事しろよ!」
と思ってました"
YJC湯田:平田さん、こんにちは!早速ですが、今回コーチングを受けてみた感想を一言で教えて頂けますでしょうか?
Repro平田:「自分のやらなきゃいけない課題が見えた」というのが一言の感想ですね。
YJC湯田:ありがとうございます。平田さんはこれまでコーチングを受けられたことはあったのでしょうか?
Repro平田:なかったですし、正直必要性もあまり感じたことはなかったです。コーチングという言葉は聞いたことがあったんですが、何をやるのかという知識もなかったですし、コーチングを受ける前は、「コーチング受けてる暇あったら仕事しろよ!」ぐらいに思ってましたからね(笑)ただ今回、YJキャピタルさんにご提案頂いたこともあったので、「やったことないことはやってみよう」と思って受け始めた感じです。
YJC湯田:そうだったんですね!ご自身の課題が見えたとのことですが、コーチングはどのような役割を果たしたのでしょうか?
Repro平田:これ、正直に思ったこと言っていいんですかね?(笑)
YJC湯田:あ…はい!もちろんです!(何を言われるんだろう…)
Repro平田:最初の方は「最近どうですか?」と聞かれて「こうでした」と答えて、「こういう観点ではどうでしょうか?」と聞かれてまた答えるといったやりとりに対して、「自分の時間を使って何でこの人は自分のことをこんな風に聞いてくるの?」っていう疑問がありました。問いによって気づきを得たり、アクションプランに落とし込むのが目的だとはわかっているんですが、自分の中ではすでにDoしているものばかりだったので、効果を実感できず、時間がもったいないなあと思ったのが3~4回目ぐらいまでの正直な感想でした。
YJC湯田:そうだったんですね・・・
Repro平田:ただ、コーチの方も頑張ってくれているのがわかりましたし、「このまま終わったら自分の負けだ」、「この時間で何かを掴み取りたい」と思った時に景色が変わりましたね。
YJC湯田:おお。どう変わったんですか?
Repro平田:コーチングセッションで経営課題に対して色々な視点でご質問頂いたこともあって、「自分は今、何をしなければいけないんだろう」というのを真剣に考え始めたんです。僕はこれまで率先垂範型で、自分が先頭を走って背中を見せながら「みんなついて来い!」というようなマネジメントをしていたんですが、ちょうどその限界を感じていたタイミングだったので、これをなんとかしたいと思いました。「今の状況をどうやって組織的に打破していくのかを深堀りしたいです。」と自分で初めてコーチングのテーマをお伝えしました。
"自分が組織に対して
コーチング的な関わり方をできていなかった"
YJC湯田:なるほど。自分でテーマを設定し始めたんですね。その後のコーチングセッションはいかがでしたか?
Repro平田:色々と話しながら、これまで自分が誰よりも責任感を持ち、誰よりも考えて、いち早く答えを見つけて、「これが答えだ」と組織にやってもらっていたのがいけなかったということに気づけました。「組織全体の思考力を上げる」というのが、今自分が解決しないといけない課題だと思えたんですよね。「自分はコーチング的な視点を持つことができている」と思ってたんですけど、視点を変えて考えたときに、「自分が組織に対してコーチング的な関わり方をできていなかったんだ」と気づけたんです。結果、メンバー達の成長を促すことができずに、いつまで経っても僕が頑張らないと会社が伸びない環境を作ってしまっていたんだと。そこに気づけたことはめちゃくちゃ良かったです。そこからどうするか自分なりに考えて、セッションの時に共有して、違った角度でも考えられるヒントを検証する、といった形で後半戦のセッションに望んでました。自分の思考の抜け漏れをコーチングで確かめてましたね。
YJC湯田:後半はコーチングに望む姿勢をガラッと変えて、自身の課題感をぶつけて思考をストレッチさせる場として活用したんですね。
Repro平田:「コーチングで受けている問いは、何を引き出そうとしているのか」をコーチングを否定している自分に問いかけて、「あーなるほど。こういう効果があるんだ。」ということをやってました。例えば相手の立場になって考えたり、言われた場合にどう受け止めるかを考えたりですね。私が意見を述べずに、相手がもしかしたら考えられていない視点で自分の意見を述べられる状況を作ってあげる、ということの重要性をすごく学べたなと思います。
"コーチの努力に報いることができなかったら
自分という人間はダサい"
YJC湯田:ふむふむ。コーチとの対話の中で特に印象的だった問いはありますか?
Repro平田:あるセッションで、コーチの方が「実は平田さんのセッションが一番大変、正直きついです。事前準備の時間も、すごく掛けています。」と腹を割って話してくれたタイミングがありました。問いではないんですが、その努力に報いることができなかったら自分という人間はダサいなと思ったんです。そこから、「どうやったらこの時間の価値を最大化できるか」という風に意識を変えられたんですよね。コーチングの技術の範囲内ではなくて、めちゃくちゃ自分に向き合ってくれている人がいるのに自分がこのままじゃだめだと、そこですごく感情を揺さぶられたというのはありましたね。
YJC湯田:おお、そんなことがあったんですね…。
Repro平田:なんか、記事にしにくい話ばっかりになっちゃってませんかね?(笑)
YJC湯田:いえいえ、すごくリアルなお話で非常に興味深いです。生の声を読者の方にもお伝えしたいのでどんどんお願いします(笑)
Repro平田:基本的にはコーチからの問いに何か気付かされるというよりは、なるほど、こういう聞き方をしてくるんだな、その結果こういうことを聞いてくるんだろうな、みたいな感じで楽しむのが僕のやり方だったんですよね。
YJC湯田:私もコーチングを学んでからは、コーチや自分のマネージャーからの問いに対して、「今はこういうことを聞きたいのかな」とか「こういう意図があるのかな」とか、ある種、対話を俯瞰して見る意識はついたように感じます。平田さんもご自身がマネジメントの立場ということもあり、そのような意識が強くあったということなのですかね。
Repro平田:そうですね。僕はコーディング以外は全部の仕事をできると思っているんですが、しいて言えば営業が比較的好きです。自分がこれまで培ってきた人間関係の作り方とか、ちょっと悪い言い方かもしれませんが相手のコントロールの仕方、自分の意図したゴールにどうやって落とすか、といったことを考えるのは好きなので、自分が「いいな」と思ったメソッドは、使ってみて反応を試すということをずっとやっていました。そうして色んなパターンを自分の中でストックしてきているんですが、同じように、社内の人と話す時にもどうやって話したら良いか、ビジネスの実践の場でどのように活かせるか、というのをコーチングの後半のセッションでは意識していました。逆に言うと、そういうことをすごく考える人間なので、「コーチの人はこっちに流そうとしているのかな」と考えながら対話を楽しむことができました。コーチングへの取り組み姿勢が普通の人とは少し違ったかもしれないんですが、「問いをどうやったら変えられるか」とか「こういう説明の仕方をするとコーチの人はどう反応するか」といったことを試していましたね。
"今、ミドルマネジメント層が
めちゃくちゃ主体的に動き始めている"
YJC湯田:なかなか珍しいやり方ですね(笑)コーチングで得た気づきをその後ご自身のマネジメントに活かされているのだと思いますが、何か成果はございましたか?
Repro平田:「包容力が出てきたね」と言われるようになりましたね。これまではすぐに「答えはこっちだよ」とか、「何でいつも考えているお前より俺のが答え出すの早いんだよ」、と捉えてしまうことが多かったんです。今は基本的にメンバーみんなの思考力を高めて、自分で突破できる人を何人も作るということにチャレンジしているので、自分の意見を言うのは本当に最後の最後。可能ならば自分は何も言わないで問題解決してMTGが終われば最高だという風にゴール設定して望んでいます。自分は途中からゲームしてても終わるぐらいになったら最高の状態ですね(笑)なので、基本的に意見を求められるまでは喋らないと決めていて、役員が喋った後に漏れていそうな点があれば、「こういう視点でも見た方が良いんじゃない?」と言って終わる形になっています。
YJC湯田:ふむふむ。
Repro平田:今、ミドルマネジメント層がめちゃくちゃ主体的に動き始めているなと思っています。これは想定していた課題解決の第一歩だと思っています。彼らのトライの回数をどれぐらい増やせるかで彼らの思考の精度も上がってくるはずなんです。2~3年後に彼らがどれだけバリューを出せる環境を作って上げられるかを大事にしています。今の経営環境で自分が彼らに対してどういうマネジメントをしていくべきかの解を持っていなかったんですが、それをコーチングを通じて見つけられたのがすごく良かったと純粋に思います。
YJC湯田:それは素晴らしい効果ですね。
Repro平田:最後、コーチの方には努力して頂いたことに対する感謝を伝えて、「途中まで不良でごめんなさい」ということを謝罪しました。コーチングを通じて少し大人になったんだと思います(笑)これまでは、一匹狼で刀を両手で持って、前から来るやつを切るのが仕事だと思ってたんですけど、「ああ、そうじゃないんだ」って(笑)200人規模になってようやく経営をしようとしているのはだめなんですけど、舞台が作れる素地ができて、組織としてさらに良くなる基調が色々なところで出てきてます。
YJC湯田:良い効果が生まれているようですごく嬉しいです。
"コーチングを通じて
新しい考え方を取り入れて欲しい"
YJC湯田:平田さんがコーチングを次に受けて欲しい人はいますか?
Repro平田:社内には色々な領域のスペシャリストがいて、その領域では自分が勝てないと思う人が何人かいるんですが、それゆえ自分のメソッドを正しいと信じすぎているところがあると感じることがあります。そういう人達にはコーチングを通じて新しい考え方を取り入れてさらにレベルアップして欲しいなと思っています。
YJC湯田:その人達にコーチングをおすすめするとしたら何を伝えますか?
Repro平田:学習意欲はめちゃくちゃあるので、自分でも新しい観点で学習しませんか?っていうアプローチが一番良いかもしれません。
YJC湯田:新しい観点で学習、良いですね!
Repro平田:僕は「経営者」平田祐介というキャラクターを作っています。本当は怠惰だし、仕事したくないし、田舎で暮らしたいし、みたいな自分もいる。本来の自分が役者として演じるRepro平田を周りからどう見られると良いかという視点で見ているので、自然とその中で自分への問いができているんだと思います。ですがこんな風に役者を作って自分を客観視するというのはあまり一般的ではないと思います。自分の考えを反証できる存在を作ったり、もう一人の自分を作る、といったことをトレーニングする方法として、コーチングをおすすめしたいと思いました。
YJC湯田:コーチングは自分を客観視するトレーニングとしておすすめということなんですね。
YJC大久保:今までのインタビューで一番生々しいインタビューでした(笑)
Repro平田:自分の生き方として、綺麗事ばかり言っていても仕方ないと思うところがあるので、正直に話しました(笑)
YJC湯田、大久保:平田さん、貴重なお時間ありがとうございました!
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また、Repro平田(@bunkiten88_)さん、YJC大久保(@Koheei_Okubo)、YJC湯田(@yudamasak1)それぞれツイッターやっているので、ぜひフォローください!