“自分自身を振り返ることができる「心の筋トレ」” ヤプリ代表取締役 庵原 保文さん
YJキャピタルでは、出資先支援の一環として”コーチング”に全力投球しております。2020年初めよりビジネスコーチング分野でのリーディングカンパニーである株式会社 コーチ・エィ と共同でプロジェクトを遂行しています。キャピタリスト自身もコーチングスクールに通い、コーチング資格を取得し、出資先に対してコーチングを提供しています。今回は、先日リリースした「【YJキャピタル×コーチ・エィ】スタートアップ向けコーチングプログラムの活動報告」の詳細編として、実際にコーチングを受けた起業家の方のインタビューをご紹介します。
本日登場する起業家は、株式会社ヤプリ 代表取締役 庵原 保文さんです。庵原さんには2020年初めより約半年間コーチングを受けていただきました。YJキャピタルでも大型出資させていただいている急成長中のノーコードのアプリ開発プラットフォームを運営するスタートアップです。
株式会社ヤプリ Yappli, inc. | Mobile Tech For All アプリプラットフォーム「Yappli」を開発・提供している株式会社ヤプリは、Mobile Tech For Allをミッシ yappli.co.jp
”コーチングは正直これまであまりピンときていなかったんです”
YJC湯田:庵原さん、早速インタビューさせてください!振り返ってみて、庵原さんにとってコーチングはどんな体験でしたか?
ヤプリ庵原:初めてのことだったので、興味深かったですね。実は過去に何回か周りの経営者から勧められたこともあったんですが、ピンと来ていなくてやっていなかったんですよね。ただ今回はYJキャピタルさんから声を掛けて頂いてちょうど良い機会だと思ったので、やらせてもらいました。普段考えないことを内省できたり、自分と向き合う時間を持てたのが良かったです。ヨガや瞑想とも近い気もしますが、自分とその周りを掘り下げるという体験は新しくて楽しかったです。
YJC湯田:これまでピンと来てなくてやっていなかったとのことですが、元々コーチングにはどういった印象を持たれていたのでしょうか?
ヤプリ庵原:事業と直接結びつかないものだと思っている部分は今でもあります。直接結びつく話は経営者としては飛びつきやすいのですが、自分自身と向き合う、とかマインドのようなものは事業と遠いものだと感じている部分があり、事業に直接結びつくものを優先したいという気持ちからコーチングのようなものには積極的ではなかったですね。
“自分の強みや弱みを認識した上で行動や発言ができるようになりました”
YJC湯田:実際に受けてみて、コーチングの成果はどのようなところに感じられましたか?
ヤプリ庵原:自分の強みや弱みがわかりました。そしてより自分を認識した上で行動や発言ができるようになりました。特にリーダーシップアセスメントの結果は印象的でした。社長は普段周りから評価を受けることがあまりないと思うので、周りからこういう風に思われているんだ、とかこういうことをして欲しいんだ、といったことを客観的に見て再認識できました。
※リーダーシップアセスメントは、社長に対して実施する社員からの評価リサーチ
YJC大久保:周囲からの評価とご自身の認識にはギャップがあったということでしょうか?
ヤプリ庵原:大きなギャップは正直なかったです。ただ、例えば自分が考えていることって伝えているつもりでも、周囲には結構伝わってないんだと再認識しました。ビジョンを伝えたりとか、もっと人に優しくしてねぎらったりとか、人間って感情で動く生き物なので、そういったところも意識しないといけないんだというのは強く認識しました。なので1on1を行ってこれまでよりもコミュニケーションを増やしたり、戦略やその背景の説明を丁寧にするために戦略説明会を設定するようにしたり、感謝を大げさなぐらいちゃんと伝えたりってことを意識して行動するようにしました。
YJC湯田:そのようなアクションから具体的にはどういった成果が得られましたか?
ヤプリ庵原:みんな快く思ってくれていると思います。1on1をやってわかったのはみんなの仕事の状況をしっかり認識できたことですね。リモートワーク中心になると余計に互いが見えにくいので、トップとしては不安になったり時にはストレスを感じることがあるんですが、社員のみんながちゃんと働いてくれているのがわかって安心できました。ヤプリは顧客理解を重要視する文化ですが、従業員理解というのも大事だと思うのでしっかりやっていきたいと思いました。現場の苦労がわかったり、開発の進捗が遅れたことも理由をちゃんと聞くと納得できたりする。話すことで課題がより見つけやすくなったと感じます。
“自分が何でこういう行動を取っているのか、深い理由が理解できたことは非常に価値がありました“
YJC湯田:素晴らしいですね!複数回にわたるコーチングセッションで印象に残っているセッションやコーチからの質問はありましたか?
ヤプリ庵原:最初、自分を結構掘り下げたんですよね。それがすごく面白かったです。掘り下げるのに、「何で起業したんですか?」と直接的な質問をされるのが普通です。僕だったらアプリを開発できないという課題を見つけて、それを解決できるツールを作ろうと思って起業しました、となるんですけど、コーチングでは、「何で他の人はできなかったのに庵原さんはできたんですか?」とか、もっと昔の、小学校や中学校の頃からの自分の性格も振り返っていったんですよね。それがすごい良かったですね。
YJC湯田:それはすごく興味深いですね。ぜひそこで気づいた点など詳しく聞かせてください。
ヤプリ庵原:元々スノーボードとかサッカーを学生の時に夢中でやっていたんですよね。それなりのレベルまで行くんですが、プロになるレベルまでは行かない感じでした。やっぱりスポーツは生まれ持った身体能力に影響される部分が大きいと感じたんですよね。その中でJ1やプロ野球選手になれる人って本当に一握りしかいない世界。自分は目指してもなれないと思って、もっと勝てるゲームをしたいと思ったんですよね。だけどビジネスって成功している人がたくさんいますよね。しかも身体能力とかじゃなくて後天的なもので勝負できる。成功確率が高いと思ったんですよね。昔から色々夢中になるタイプだったんですけど、ビジネスだったら勝てる可能性が高いと思ったんでどんどんのめりこんでいったのだと思いました。こういうやりとりが面白かったですね。
YJC湯田:なるほど。そういった考えが起業につながっていたんですね。
ヤプリ庵原:あと、人に格好つけたい思いが強かった自分を思い出しました(笑)ヤプリはオフィスに結構思い切って投資をしていて、良いオフィスを作ったんですが、「見栄えに気を使うのはなぜですか?」と聞かれて小学校や中学校時代を思い出しました。昔から格好つけたり、ちょっとアウトローで他の人がやらないことをやりたいと思う気持ちが強かったりしたんですが、そういうのがオフィスにあらわれているのかなと思いました。よく創業者のカルチャーが、とか言うじゃないですか。これまであんまり会社に自分の性格が反映されているとか思わなかったんですけど、そういうのってやっぱあるんだなって思いましたね。オフィス一つ見ても、固定費でもったいないから投資しない経営者もいる一方で自分は投資をしている。オフィスの環境によって入社する社員のタイプも変わってくると思います。オフィスだけでなく、どういう事業をやるかとか、どういう人を採用するかとか、細かいところも含めて創業者である自分の育ってきた環境や様々な原点が経営に影響しているんだろうなと。自分が何でこういう行動を取っているのか、深い理由が理解できたことは非常に価値がありました.
“コーチングは心の、思考の筋トレ”
YJC湯田:コーチングでご自身をより深く理解できたようで良かったです。改めてコーチングの良さを一言で言うとどこにあると感じますか?
ヤプリ庵原:立ち止まって自分を振り返ることができる、内省ができる貴重な機会だと思います。普段、自分自身の内面を振り返ることってなかなかないと思うんですよね。コーチングではそういった心の、思考の筋トレができる。自ら導き出してアクションができるようになります。
YJC湯田:特にどういった人におすすめしたいですか?
ヤプリ庵原:特に社長や幹部ですね。オーダーする立場で意思決定の最後の方にいる人達ってどんどん相談する機会が減っていくと思います。相談する人があまりいない人には良いんじゃないでしょうか。あとはちょっと寂しい人ですかね(笑)
YJC湯田、大久保:庵原さん、貴重なお時間ありがとうございました!
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