【後編】なぜ「目的」が重要なのか?ユアマイスターCEOに聞く社員が仕事に夢中になる会社の作り方
「モノを大切にする価値観」を取り戻すことが日本の社会を幸せにする、と考える会社があります。Yourmy Star Inc(以下、ユアマイスター)です。
ハウスクリーニングやリペアなどのプロサービスのプラットフォーム「ユアマイスター」を運営するユアマイスター。同社が大切にするのは、ユーザー、サービス提供者、そしてプラットフォーマーの三者が幸せを分かち合える関係性の構築です。
前編では、メンバーの3割がリファラル採用のユアマイスターが、どのようにしてできたかをお伝えしました。世の中から応援したいと思ってもらえる会社になるためには、組織を構成する一人ひとりが応援されることが大切だ、と星野さんは言います。
「応援される会社」を目指すユアマイスターは、どんな取り組みをしているのでしょうか。
【星野貴之】
楽天株式会社にて営業を担当、全国1位の収益を創出。全社MVP年間MVPを受賞。25歳で九州全域の副責任者となり、幹部育成プログラム1期生に選抜。IRへ異動、決算・増資・投資家対応を担当。2016年3月MBAを取得後、2016年8月にユアマイスター株式会社を設立。
応援される会社になるためにきちんと目的を伝える
インタビュアー
社員が「仕事が楽しい」と思える会社を目指している、とうかがいました。仕事に熱狂してもらうためにどのような働きかけをしていますか?
星野
会社の心臓は僕だと思っています。身体がそうであるように、僕に近い人は新鮮な血液が送られるので元気がいいですね。ところが、それが100人くらいになってくると僕からも、社員からも見えなくなってくる。それでも心臓は絶えず全身に血液を送り続けなくてはいけません。
会社にとっての血液とは情報です。情報を現場まで隠さず、フラットに共有すること。それが組織づくりには欠かせないのではないかと思っています。仕事に夢中になるには、「なんのために」その仕事をしているのかがわかっていることが必要です。方向性がわからないと、どう頑張ってよいかわからないし、成長実感もわきませんよね。
目的なき目標はない。そう僕は考えています。周囲の応援を集めるにも、周囲にしっかりと目的を伝えなければなりません。ただ、情報の捉え方は人によって違うので、解釈のサポートをするためにマネジメントがあるのだと思います。
身体は鍛えなければ強くならないように、会社が成長するには苦労も必要です。いい雰囲気の中で仕事ができることは大事ですが、やさしいとか褒めるだけの組織では伸びないとも僕は思います。やっぱり、成長は苦労あってこそ。
目的に沿わない意味のない苦労ではなく、必要な苦労を喜んでやってもらえるようにしていきたいですね。「これだけやったら、こんないいことがあった」と感じてもらえるように。会社を勝利や成功体験を提供できる場所にしていくこと。それが肝心なのではないでしょうか。
一人ひとりに幸福を感じてもらえなければ、応援してもらえる会社はできない
インタビュアー
メンバーの成長をサポートをする上で、ティーチングとコーチングのバランスで気をつけていることはありますか?
星野
頑張る方向性がずれていたらティーチングが必要です。適切な方向へ熱意を向けてもらうために、こまめなコミュニケーションも欠かせません。それをやらないとやっぱり、ずれていくと思います。
インタビュアー
コミュニケーションにおいて、重要視している点などはありますか?
星野
大きなプロジェクトがあると、目的に向けてひとつになりやすいですね。プロジェクトの成功を経ると、成功体験が芽生え「あのときできたんだから」という空気も作りやすくなります。なので、Project T(TOKIO)やProject TP(Turning Point)、Project ONEといった全社PJを年間3本実施し、各PJ期間において全社の目的と認識を揃えながらチーム一丸の空気を醸成するように努めてきました。
インタビュアー
星野さんはリーダーとして、ティーチングもコーチングもバランス良くできる素晴らしい経営者だな、という印象を抱いています。
星野
僕がいい人かどうかはわからないけど、人の人格を見て採用することには自信があります。結局、組織は人だから。いいときも悪いときも、人間の素性が出ます。だからユアマイスターはいい人が採用できているので、人がいいと言ってもらえるのかもしれません。そして、何より経営者が、ミッションやビジョンと言行一致かどうかが重要で、皆さんはそれを見ていると認識しています。
パフォーマンスを出すには幸福な状態で働いてもらうことが大切です。一人ひとりに幸福を感じてもらえなければ、応援してもらえる会社なんてできません。いい人を集めた方が、いいチームができると僕は信じています。
モノを大切にする日本の価値観を取り戻す業界No.1になる
インタビュアー
星野さんは、現状に満足することなく常に上を目指している感じがします。いま何合目にいるとお考えですか?
星野
2.5合目です。
インタビュアー
これからのユアマイスターにとって、どんな人が必要ですか?
星野
採用ありきではなく、いまいるメンバーで勝ちたい。その上で足りない部分を補っていきたいというのが僕の採用に対する基本的な考えです。
採用面接では「これまでにどんな努力をしてきたか」「何に貢献したいと考え」「人や未来に対して希望を持っているか」といったことをうかがっています。
ユアマイスターが重視しているのは、人です。人を信じられるか、仲間と仲間とつくる未来に希望を持てるか。そのことがビジネスを推進していく力になると考えています。
その上でジョブチェンジなどチャレンジする人には前職と同じくらいの待遇を、過去の実績をユアマイスターでも再現していただきたいと思う方には前職よりよい待遇を準備しています。組織の成長にとって場所が変わっても実績を再現できる大人の力は重要なファクターです。
インタビュアー
今後ユアマイスターをどうしていきたいですか?
星野
ハウスクリーニングやリペアのプラットフォームで日本一の会社にしていきたいです。「モノを大切にする」日本の価値観を取り戻して、お客様の生活を変えたいと考えています。
2022年に入ってから、過去5年でゼロから作ってきたものを全部壊して新しいものを作るフェーズに入りました。これまでのユアマイスターをぶっ壊して、新しいユアマイスターを作ります。
僕は経営学を学びました。座学で全てが理解できることはないのですが、会社経営とは、人・物・金・技術の集合体であり、原理原則がとても重要であると考えています。原理原則と経験・実態をどうシンクロさせるかどうかです。時にそれを経営の定石と言うのかもしれません。その一端を担えることには大きな価値があると思います。
いい会社かどうかは、僕にはわかりません。それはみんなが決めることだから。でも、ユアマイスターに来たら成長できます。成功は保証しないけど、成長は保証する。だから、若い人にもチャレンジしてもらいたいですね。