TERASSへの投資

by Chihiro Kameoka

Z Venture Capital(以下、ZVC)は、独立型不動産エージェントのためのプラットフォームを運営する株式会社TERASS(以下、TERASS)に出資しました。


私は、課題へのアプローチ方法、そして現代の家探しへの適合、という2つの観点から、TERASSのビジネスモデルが非常に優れていると感じています。


・ 課題へのアプローチ方法

TERASSは、不動産エージェントに対するDXツールの提供にとどまらず、集客・研修・法務・事務など、不動産エージェントが独立して活躍するためのプラットフォームを構築しています。

そのため、「不動産」というレガシーな領域においても、ツールではなく、人を起点にしたDXを実現できています。その結果、定額でのツールの使用料という形でなく、取引高に応じた収益モデルを構築することができています。

「DX」という言葉が誕生してから約20年が経過し、ホリゾンタルな領域やバーティカルに市場が大きい領域、DXツールが浸透しやすい領域では、すでに有力なプレイヤーがポジションを築いています。ITサービスのみで獲得できる市場はニッチ化してきており、これからのスタートアップは、今までとは異なるアプローチが求められている状況です。こうした時代背景にも、TERASSはマッチしています。


・ 現代の家探しへの適合

TERASSの家探しは、私自身が過去の家探しを通じて感じた、時代の変化に適合していると感じています。

具体的には、①中古マンション市場の拡大余地、②エージェント個人の重要性の高まり、③不動産業界のDXの余地の3点が挙げられます。


①中古マンション市場の拡大余地

新NISAが普及したことやインフレが進んでいることから、国民の間で資産運用に対する意識が高まってきています。今後は、住宅に対しても資産性への意識が向上し、「賃貸から購入へのシフト」が起こることが予測されます。他方で、資材や人件費の高騰などの影響で、新築マンションは供給量の低下と価格の高騰が起きており、中古マンションの売買は増えるのではないかと考えています。


②エージェント個人の重要性の高まり

不動産のポータルサイトが普及し、インターネット上で簡易に情報にアクセスができ、個人でも不動産を探すことができます。以前は、独自の不動産情報を多く持つ大手仲介会社に依頼が集中する構造でしたが、大手に依頼することは必須ではなくなってきています。一方、「個人でも探せる」といっても、不動産の取引は大きな決断です。最終的な決断をする際には、信頼ができ、背中を押してくれるエージェントの存在が必要です。


③DXの余地

契約や申し込みに際して、いまだに「紙」を使う機会が多いのが実状です。電子契約ができず、高い印紙代への負担や、担当者が夜遅くまで契約書を作っていることなどへの非効率を感じた方も少なくないと思います。このような背景から、不動産業界のDX化の余地は大きいと考えます。


これらの課題の解決に対して、最もマッチするのがTERASSです。


優秀な独立型の不動産エージェントが集まり、IT/AIツールを駆使して顧客向き合いに集中する。まさにこれからの日本に最適な不動産探しそのものです。

CEOの江口さんは非常にビジョナリーで行動力があり、周囲の人物からの信頼が厚い人です。また、6年前からYouTubeを通じて「住まい」に関する情報を発信し続けており、粘り強く施策を続ける力もあります。

現在、TERASSに所属するエージェント数、TERASS経由の取引数は急成長を遂げており、今後も更なる飛躍を遂げてくれると確信しています。

今回、TERASSに出資する機会をいただけたことを非常にうれしく思っています。また、不動産領域はLINEヤフーグループとの提携の余地も大きいと考えています。TERASSの成長を、ZVC一丸となって全力でサポートしていきます。