たった1枚のカードで日常に福利厚生を感じる社会を~スタートアップ miiveの挑戦~

たった1枚のカードで日常に福利厚生を感じる社会を~スタートアップ miiveの挑戦~

今回は1枚のカードで会社の福利厚生を自由に使うことができる新しい福利厚生プラットフォームを提供する株式会社miiveとの対談です。

miiveでは、カードを通じて従業員に対してポイントが付与され、従業員はカードを決済するだけで様々な制度を利用することができます。福利厚生として柔軟に使い方や付与数をカスタマイズできるほか、これまで必要だった面倒な申請などもなく、社員同士の交流を深めるためのコミュニケーションランチや、スキルアップに必要な書籍購入などの福利厚生に利用することができます。

対談では、代表取締役の栗田廉さんにmiiveの立ち上げにいたるまでの想いや、会社設立から2年余り経った現在、強化している採用について話を伺いました。

栗田 廉(くりた・れん)

南山大学卒業。大学在学中より起業家を志しプロダクト開発を実施。就職活動時の「福利厚生」への違和感から、2020年にmiiveを創業。現在は従業員の生活を支える福利厚生プラットフォーム「miive」を展開。日本の閉塞感を打ち破る「働く」の未来を創造すべく事業を拡大中。


湯田 将紀(ゆだ・まさき)

早稲田大学社会科学部卒業後、ヤフー株式会社に入社。 企画、マーケティング、財務業務等に6年半従事した後、2018年10月よりZ Venture Capital(旧YJキャピタル)に参画。 Z Venture CapitalではFintechを中心に投資業務に従事。 2020年よりスタートアップとPayPayミニアプリ開発を目指す「PayPay Accelerator Program」を運営。 過去には週刊金融財政事情「Fintech+(フィンテックプラス)」にてFintechスタートアップを紹介するコラムの連載を担当。

特別な日にしか使われない福利厚生がすべてではない

湯田)よろしくお願いします。まずmiiveのサービスについて教えてください。

栗田)私たちは新しい福利厚生を提供しているスタートアップです。会社の規模を問わず、自社の福利厚生制度を柔軟に構築できるサービスを展開しています。会社が目的に沿った福利厚生制度を決め、カードに用途や使い方をカスタマイズしたポイントを渡します。従業員はストックされたポイントを使うだけで、用意された制度を利用できるというものです。例えば、社員同士のコミュニケーションのために、複数人でランチに行ったときに使えるポイントとして設計したり、育児支援のためにベビーシッターや家事代行サービスで使えるポイントを渡したり、本当に福利厚生を柔軟に使うことができます。


miiveは「VISAカード」で運用。カード1枚あればいつどこでも会社の福利厚生を利用することができる

湯田)どうしてこのサービスを提供しようと考えたんですか。

栗田)多くの企業が福利厚生を導入していますよね。でも晴れの日にしか使われないものや特別な日にしか使われないものが結構多くて。例えば旅行先のホテルが安くなるとかです。でもそれが福利厚生のすべてなの?という疑問がありました。私は、日々の働きを支援してこそ福利厚生だと考えています。子どもがいる家庭であれば、育児が少しでも楽になればそれが福利厚生だと思います。そうした方をより身近に、日常的に支援するために「カード決済」は当初から意識した部分でした。

湯田)栗田さんはいつから会社の立ち上げを考えていたんでしょうか。

栗田)もともと小さいころから起業したいとは考えていました。小学校低学年の頃ですかね。そこは大学卒業までずっとぶれなかったです。

湯田)気になるんですけど、小学生の時に何があったんですか。

栗田)実は、私の家は貧しかったんですよ。住んでいたアパートはいわゆるボロ屋で、それがずっとコンプレックスでした。母親は、休日も関係なく働いていて、「母ちゃんを豊かにしてあげたい。楽にしてあげたいな」と思いがありました。当時、長者番付を見ていて、上位のほとんどが会社の創業者でした。それを見た栗田少年は、「お金持ちになるには創業者しかないな」と感じ、将来の夢を決めました。もちろん今はそれだけではありません。ただ当時、「人間、生まれたときの環境で決められてたまるか。バックグラウンドが無くても絶対に上まで上り詰めてやる」と感じた覚悟が僕のエナジーになっています。

新型コロナで最初の事業はピボット

湯田)miiveを立ち上げる前はどんな事業をしていたのでしょうか。

栗田)大学の在学中に、自分で学内版のマッチングアプリを作りました。例えば「これから飲みにいこう」となったときに、すぐに入ることができる店が分かれば便利だなと考えていて、位置情報を利用した地図をもとに、すぐ入ることができる飲食店を知らせるサービスを提供していました。500人ぐらいユーザーがいましたね。

湯田)その事業はどうなったんですか。

栗田)途中までは上手くいっていました。メンバーも5人ほど集まり、エンジェル投資家から出資も決まっていました。飲食店も渋谷周辺の20店舗ぐらいが「参加するよ」と言ってくれて。学生側も1万人ほどリーチできる状態になっていました。「さあローンチするぞ!」という時に、新型コロナが流行しました。すると、どんどん街から人が消えていきました。その様子を見て、残念ながら事業をピボットせざるを得ないと判断し、断念しました。

湯田)順調に進んでいた中でのピボット。当時を振り返ってどんな気持ちでしたか。

栗田)まじか…と思いましたね。岐阜から貯金を全部かき集めて、家族からお金を借りて上京してきて、一旗あげようと思っていたので。振り出しに戻ってしまうのは、すごくきつかったです。その時は、貯金も収入もなかったので、豆腐とねこまんまだけの生活を2~3か月やりました。でも新型コロナで社会ががらりと変わったのは、「チャンスでもあるな」と思っていました。これからのビジネスがあるはずだ、と考えていたのですぐ切り替えました。

湯田)ピンチでもポジティブに捉えることができるのは栗田さんの強みですね。当時の経験から学んだことはなんですか。

栗田)新型コロナの流行に関係なく、マネジメントは率直に失敗したと思っています。その時のメンバーは、ほとんどが自分よりも年上で、どこか遠慮してメンバーの意見を聞きすぎる余り、やることがブレブレになっていました。方針が人の意見ですぐに切り替わることがいいんだっけと自分の中で悶々としていました。その経験もあり、今は人の意見はしっかり聞くけれど、大方針は持っておくべきだという自分自身の学びにつながっています。

少しずつ自分たちの目指す世界に近づいている実感

湯田)栗田さんの中で、miiveはこういう方にこそ使って欲しいというイメージはありますか。

栗田)そうですね。自社で福利厚生を充実させたい、でも制度の運用が煩雑で大変だと感じている企業の担当者。それに会社が用意している制度を利用しきれていない従業員がいる企業、そういった方にこそ使って欲しいと思います。

湯田)どのようにmiiveの良さを感じて欲しいですかね。

栗田)社内でバラエティ豊かな福利厚生制度を取り入れている企業は一定数あると思います。みんなが働きやすい環境を作るためにシャッフルランチやメンバーフォローのための費用補助、採用を加速させるリファラルランチといったユニークな制度。これらはすべてmiiveで運用することができます。また、利用データからチームと個のコンディションを可視化する機能も展開していきたいと考えていて、あらゆる規模の企業が、目的に合わせた制度を柔軟に設計でき、手間なく運用できるプラットフォームがmiiveだと考えています。すべての人が気持ちよく、楽しく働けるよう寄与していく。そうした中にプロダクトの良さを感じて欲しいです。

湯田)使っている方からどんなメッセージが届いていますか。

栗田)「会社の支援をより身近に感じるようになった」「これまでで一番福利厚生を使っていると思う」といった声が届いています。また、企業の管理者からは「自分たちの福利厚生が使われて、導入してよかった」という声も届いていて、そうした声を聞くとやはり嬉しいですね。

湯田)利用者の規模はどうでしょうか。

栗田)サービスリリースから1年ほどの間に、多くのフィードバックを得たかったということもあり、現在は中小企業を中心に展開しています。一方で、福利厚生は業種や規模に関係なくニーズがあるので、最近では福利厚生に感度が高い大企業向けにもサービスの提案をしていて、5000人規模の会社でも利用が始まっているところです。

現在、miiveの社員は約10人。今後もメンバーを募集中。

働く人すべてが気持ちよく働ける世界を実現したい

湯田)miiveの採用についても教えてください。どういった方を求めていますか?

栗田)まずmiiveへの共感はマストだと思っています。そこが一番強いですね。率直に、自分の口でmiiveの世界感が語れる人がいいなと思っています。

湯田)どうしてマストだと考えますか。

栗田)まず自分たちのサービスをメンバーが疑うことなく信じていれば、それがプロダクトにも反映され、利用者に直接届けられるからです。もう1つは採用市場で見てみると、結果的にカルチャーが強い会社が選ばれると思っています。だからこそ、早いうちから「miiveはこういう組織だよね」というものを作っていく必要があるし、そうした方に入ってもらいたいと考えています。

湯田)なるほど。ありがとうございます。これから入る方はmiiveで何ができますか。

栗田)この時代を代表する企業を一緒に作って欲しいと思います。そして、自社の製品を自分自身で試しながらより良いものにして欲しいです。

湯田)最後にmiiveへの関心を持った方に、栗田さんが届けたいメッセージを教えてください。

栗田)私たちのミッションは、人と企業の活気が溢れ、最高の仕事ができる世界を実現することです。そのために充実し、意味のある制度が簡単に使えることが最も大きなポイントだと思っています。私たちの挑戦は始まったばかりです。私たちと一緒にmiiveの世界を実現してくれる仲間をお待ちしています!

湯田)ありがとうございました!

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