新CFO紹介:松平浩一
2023年7月1日付でZ Venture CapitalのCFOに就任した松平浩一(まつだいら・こういち)です。国会議員として国政でスタートアップ育成政策に携わってきた経験をもとに、新たにZVCの一員としてスタートアップ支援に取り組んでいきます。スタートアップと政治の橋渡し役として、皆さんとともに挑戦し、未来を築いていきたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
元衆議院議員(2017年~2021年)、弁護士。衆議院経済産業委員会、地方創生特別委員会等に所属し、国会議員活動評価最高位「三ッ星」(上位2%)を通常国会2年連続獲得。任期中15か国・地域を訪問し、日本の地位向上及び国際協力のため議員外交を展開。2005年から12年間Baker&McKenzieに在籍し、国際取引、M&A、事業継承、企業再生案件など数多く手がける。また、ソニー、ヤフー及びYJキャピタルにて、インターネット関連、スタートアップ支援業務に従事する。議員任期後は、インパクトファンド運営の傍ら外資系オンライントラベルエージェンシーの役員を務める。2023年7月よりZ Venture CapitalにCFOとして参画。その他、東証上場チェーンストア元取締役、日本サッカー協会規律・フェアプレー委員等歴任、元FIFAエージェント、長崎大学特任講師など。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
衆議院議員時代の挑戦
2017年、私は衆議院議員に初当選しました。11月に永田町にある国会議事堂に初登院した時のことは今でもはっきりと覚えています。永田町、国会議事堂、と政界の用語が並び、いまこの記事を読んでいる方にとって、少し遠い世界のように感じるかもしれません。
実は、衆議院選挙に立候補中もヤフー・YJキャピタルで仕事をしていて、国会議員に当選した後の10月末まで赤坂にあるヤフーのオフィスにいました。赤坂と永田町は目と鼻の先で、これまで赤坂だった職場が、隣の永田町に変わるぐらいの感覚です。そういう意味では、永田町との距離は近かったといえますね(笑)。
私が議員として実現したかったこと。それは、スタートアップの育成支援です。
当時からどんどん国力が弱くなる日本を実感していました。スタートアップの皆さんが、中には寝る間も惜しんで、努力を重ねている姿を見てきました。その一方で、日本企業のプレゼンスは低下し、プラットフォームは海外企業に独占されていく。私は、新しい産業をつくり世界で戦える企業をつくっていく必要があると強く感じていました。
そこで当選後は、国会で経済産業委員会に所属し、委員である他の国会議員、そして経済産業省とともにスタートアップ支援の議論を進めてきました。具体的には、ディープテックベンチャー支援、オープンイノベーション促進税制や自社株対価MAの促進(金融面)、定款認証コストの削減や将来のデジタル化への議論(起業しやすい環境整備)、規制のサンドボックスやグレーゾーン解消制度(規制緩和)、スタートアップビザ(人材)など多岐にわたります。
経済産業委員会は国会でも特殊(?)なところで、他の委員会では、審議中に与野党が紛糾したり、委員会が中断したりすることが多々あります。ただ経済産業委員会は、委員それぞれが「党派を超えて進めていこう」という思いが強く、他の委員会で見られるような与野党が審議などをめぐって、鎬を削る様子は見られません。
その分、産業の創出や、経済の成長につなげる政策に全員が向き合い、議論を重ねていきます。私もこれまでスタートアップやベンチャーキャピタルにいた経験に加え、さまざまな現場に足を運び、聞いた声を届けようと、委員会で委員や官僚と何度も何度も議論を重ね、政策を実現してきました。
こうした取り組みが評価されたのか、田原総一朗さんや宮内義彦さんが理事を務めるNPO法人が実施する、全国会議員の中から上位2%に与えられる国会議員活動評価で、最高位の「三ッ星」を2年連続(通常国会)でいただきました。
ZVCでの挑戦。スタートアップと政治の橋渡し役になる
衆議院議員の任期中、私は15の国と地域を訪問しました。先進国だけではなく、途上国も視察しました。そこで、テクノロジーを用いて貧困など人類の深刻な課題解決のために起業し奮闘している多くの日本人と知り合いました。
ボランティアであれば一時的な支援になってしまうかもしれません。一方、ビジネスとして成り立つのであれば継続的な現地支援が可能で、特にテクノロジーの活用は現地の社会課題解決に非常に有効です。ただ、そのようなスタートアップは、途上国では金融面での支援が届きにくいのが現状です。そこで彼らのような起業家たちを少しでも助けることができないかと思い、ファンドを組成し、現在も活動を続けています。
また、地方創生の一環として、地方の観光産業を支援するため外資系オンライントラベルエージェンシーの役員をしていました。地方にとってインバウンドは外貨を稼ぐ有望な手段です。オンラインなので、地方から世界に地元の魅力を発信できます。気がつけば、衆議院議員の任期後も私はテック界隈にどっぷり関わり続けていました。
そんな時、YJキャピタル時代の同僚であった堀さん(ZVC代表)に声をかけてもらいました。2人で話をする中で、「ベンチャーキャピタルの一員としてスタートアップを支援していきたい」という衝動に駆られました。
6年前(2017年)の自分と比べて、国政での経験を活かすことができる。また国政にいたからこそ、自分にしかできない支援の在り方がある、そう考えました。ZVCには200を超えるポートフォリオがあり、さらにZホールディングス株式会社のCVCとして出来ることは無限大にある。期待感はもちろん、使命感が溢れている。そんな感覚です。
政府はいま、スタートアップ育成5か年計画を掲げ、2027年度、またそれ以降のロードマップをもとに施策を進めています。2022年7月時点で1万社のスタートアップを10万社に、6社のユニコーンの数を100社にするという目標です。そのためにスタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築など柱にしています。こうした動きは大いに歓迎すべきです。
一方、現実問題として、こうしたスタートアップが育つためには、時に、さまざまな障壁を乗り越える必要があります。例えば、新型コロナ禍で話題となったオンライン診療や、海外で普及が進むライドシェアサービスなど、こうした新たなサービスを導入しようとする際、規制への対応、関係機関との調整、法整備の対応が必要です。これはいちスタートアップが直面する課題としてとても大きいものです。
そこで、スタートアップと政治の橋渡し役となって省庁との交渉、現役議員と連携した政策提言、法律的なサポートなどの観点から、スタートアップや業界の成長を実現していきたいと思います.
最後に
少し話題を変えて個人的な話をしますと、トム・クルーズ主演の「ザ・エージェント」という映画があるのですが、私は、これが大好きでした。学生の頃、この作品を見てエージェントにあこがれ、それが高じて当時日本に数名しかいなかったFIFAのライセンスを取得して、実際にエージェントとして日本代表選手の海外移籍などを手掛けていました。今もJリーグ選手を30人ほど抱えるエージェント会社のオーナーをしています。
夢は少しずつ膨らんでいくもので、将来はサッカーだけでなく、大好きなバスケットボールでNBA選手のエージェントもやってみたいと思っています。
サッカー好き、バスケ好きの方、ぜひ交流しましょう!
改めて、議員時代に最も力を入れて活動していたスタートアップの支援、育成に携われること、そして今まで政策面、制度面での支援だったものが、実際に現場で支援できる立場になることに、わくわくしています。まずは皆さんと現場でお会いし、お話しするところから始めたいと思っています。どうぞよろしくお願いします!