Chronicle Studiosへの投資

by Hyung Kim

Chronicle Studios(以下、Chronicle)は、生成AIを駆使する次世代エンターテインメントスタジオです。従来の「作品を作ってから観客を探す」のではなく、YouTubeやTikTokなどで既に熱心な支持を得ているクリエイターに早期投資し、その短編を映画やシリーズ、ゲームなどの知的財産へ発展させます。さらに、AI を発見と拡散のエンジンとして活用し、人間の創造力を置き換えるのではなく高める――それが Chronicle の目指すエンターテインメントのかたちです。

Chronicle Studiosへの投資理由

Z Venture Capital(以下、ZVC)は、常にテクノロジーとカルチャーの最前線で、新たな価値を創造する企業を探しています。そしてこの領域は、テクノロジーの飛躍的進歩と消費者行動の変化の両輪によって、いま急速に変革が進んでいます。今回、ZVCが出資するChronicleは、AIとメディアの交差点において、新たな未来を築くスタートアップだと信じています。

AI × メディアがもたらす世代横断のチャンス

私たちは、人工知能が ― 物語の”創作・発見・流通”― という一連のプロセスを根本から刷新すると確信しています。Chronicleは、人間の創造性を核としつつ、AIを”発見と増幅”のエンジンとして活用することで、まったく新しいフランチャイズ創出モデルを開拓しています。

コンテンツ過多の時代にあって、Chronicleのアプローチは際立っています。クリエイターに自信を与え、独創性を引き上げる。そして、コミュニティ主導のIPをボトムアップで拡大することで、創作工程を単に自動化するのではなく、「既に機能しているもの」を増幅し、”隠れた宝石”を掘り起こしてクロスプラットフォームへと羽ばたかせる。その進化こそ、私たちが高く評価する点です。

新世代視聴者のための IP 開発

ユーザーは、次のブロックバスターをただ待っているわけではありません。すでにYouTube、TikTok、そして新興のウェブプラットフォームで、独自のストーリーを発見し、支持しています。次の大ヒット・フランチャイズが生まれるのは、もはや従来のスタジオではなく、こうしたプラットフォームと考えます。

Chronicleはこの理論を出発点とし、プラットフォームネイティブのコンテンツで育つ、クリエイター主導のコミュニティこそ、次世代の象徴的なキャラクターとストーリーの源泉であると考えています。同社はその思想を体現し、単に”物語を語る企業”ではなく、映画・ゲーム・テレビなどを横断しながら、クリエイターファーストのIPをスケールさせるクリエイティブかつ商業インフラを構築していきます。

ハリウッドとシリコンバレーを繋ぐ創業チーム

Chronicleの共同創設者であるChris deFariaとAaron Sistoは、メディアとテクノロジー双方への深い専門性を併せ持つ稀有なリーダーです。

Chrisの数十年にわたる主要なハリウッドフランチャイズをリードした経験は、物語が”人とつながり、長く愛される条件”を熟知することに繋がっています。また、Aaronは企業構築に長年取り組んできた経験から、鋭いプロダクト思考とAI視点を提供しています。彼らは共に、この新しいフロンティアを切り開くうえで、不可欠な存在であると考えます。

Chronicleは、ボトムアップ・クリエイター主導・テクノロジー起点という”新しいエンターテインメントモデル”を定義しつつあります。私たちはChrisとAaronが描く未来の実現を支援できることに大きな期待を抱いています。また、長期的かつ大胆なクリエイティブ投資にコミットするPatronとPoint72と共に出資できることを光栄に思います。

ZVCは、人間の創造性を置き換えるのではなく増幅するプラットフォームが、これからのストーリーテリングで最も価値を生むと信じています。Chronicleはその証明であり、私たちは彼らとこの旅路を共に歩めることを誇りに思います。