【前編】ゲーム配信で「わかりあう」世界を作る。ミラティブCEOに聞く、ライブゲーミングの可能性とは

【前編】ゲーム配信で「わかりあう」世界を作る。ミラティブCEOに聞く、ライブゲーミングの可能性とは

株式会社ミラティブはゲーム配信サービス「Mirrativ(ミラティブ)」を提供しています。Z Venture Capitalはゲーム配信の可能性に注目し2019年2月に、スマホゲーム配信者数日本一を誇るサービスの開発・運営会社であるミラティブに出資いたしました。
今回は前後編の2本立てで、いまゲーム配信が盛り上がっている理由とゲーム配信のプラットフォーマーを目指す同社が求める人材をCEOの赤川さんにうかがいました。

【株式会社ミラティブ 代表取締役 赤川 隼一】
2006年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。「Yahoo!モバゲー」等の立ち上げ後、新卒出身者として初の執行役員に就任し、海外事業の統括やゲーム開発に携わる。
2018年2月、「わかりあう願いをつなごう」をミッションに株式会社エモモ(現 ミラティブ)を創業し、スマホゲーム配信者数で日本一のゲーム配信サービス「Mirrativ」を運営中。

3年かけて市場開拓。ゲーム配信の参入層に変化



2019年にミラティブに出資させていただいて、3年経ちました。この3年でゲーム配信を取り巻く環境は変わりましたか?
 
赤川
ゲーム配信が受け入れられる下地ができはじめたのが2018〜2019年頃、流れが大きく変わったのは2021年頃からと思っています。

これまで「ゲーム配信はユーザー数は多いものの、マネタイズしにくいよね」という認識がありました。しかし、2021年ごろからゲームが上手いコアゲーマーが牽引していたゲーム配信市場に、がっつりゲームをプレイしないインフルエンサーやその周辺層が参入したことで、Mirrativの実績も出始めたと考えています。市場の動きに対して、ミラティブが先陣を切れたことは良かったと思っています。
 

ゲーム配信の未来を信じて投資して良かったです。そもそもの質問で恐縮ですが、ゲーム配信のおもしろさについて、赤川さんはどのようにお考えですか?

ライブ配信とゲームを融合した「ライブゲーミング」の価値とは

赤川
ゲーム配信の楽しさは、コミュニケーションとリアクションにあると思っています。配信者が普通にゲームを遊んでいるだけで、ゲームの中ではさまざまな出来事が起こるので、配信者がそれにリアクションする。その配信者の様子を見て、視聴者がまたコメント等でリアクションする。その連鎖でユーザー同士の間に物語・ナラティブができていくところが、おもしろさだと思っています。

堀 
コミュニケーションが肝なんですね。
 
赤川
そうですね。この楽しさを進化させていくために、ライブ配信とゲームが融合した、新たなユーザー体験を生み出していこうとしています。我々はこのライブ配信とゲームが融合した新しい体験を「ライブゲーミング」と呼んでいます。
ゲーム配信は、配信者のプレイに視聴者が介入することで、配信者と視聴者が一緒に盛り上がれるようになるんです。ただゲームをプレイするだけでなく、ゲームによって人とコミュニケーションをとることの楽しさは、すでに多くの人が実感していると思います。ゲーム配信を通じて人と人とが繋がるユーザーの動きを見ていると、Mirrativは「スマホメタバース」の側面も有ると考えている次第です。
ちなみにグローバルでも「ライブゲーミング」領域は注目されていて、2021年には海外の「ライブゲーミング」領域事業を展開する企業が約100億超えの調達をしています。
また、去年12月の段階でMirrativ上で「ライブゲーミング」関連の売上だけで月間1億を超えてきました。ミラティブでもこの新たなユーザー体験に実績が見えてきたのは、大きな一歩だと思っています。


市場もできていると。
 
赤川
そのとおりです。さらに、「ライブゲーミング」は、ゲーム市場においてありそうでなかった新しい市場を開拓しつつあると私は考えています。
これまでゲームユーザーは、自分のプレイをより楽しくするためにゲームソフトの購入やスマホゲーム内のガチャやアイテム購入などでお金を使っていたと思います。しかし、コミュニケーションがメインのゲーム配信ではお金の使い方が変わると考えています。つまり、視聴者が配信者のプレイに介入したり、アイテムをプレゼントできたりといった「誰かのために(も)お金を使う」ことができるんです。

他のエンタメ産業に目を向けてみると、自分のためにお金を使うことが決して市場の中心にあるわけではないと思います。例えばスポーツであれば自分のためにバットやボールを買う人よりも、観戦チケットや応援グッズの購入、観戦の際の飲食代にお金を使う人の方が多い。音楽や映画も、作り手の市場よりも観衆や消費者のための市場が中心です。
そう思うと、ゲームが他と比べてかなり特異的だったと思います。しかし、ライブ配信とゲームが融合した「ライブゲーミング」となると、一気に市場が拡大していくんです。

ミラティブが開発したライブゲーム「エモモランあーるぴーじー」のプレイ画面

自然とバイラルしたMirrativの強さ


お話を聞けば聞くほど、ゲーム配信はまだまだ成長していきそうだな、と思いました。ゲーム配信サービスとしてのMirrativの特徴を教えてください。
 
赤川
先に述べたのは今後出てくるゲームの話ですが、Mirrativのもともとの強みは世の中のどんなゲームでもスマホだけで配信できることです。スマホだけで気軽に配信を始められることで、同じゲームを好きな人たちのコミュニティができていきます。その過程で、Twitter等を通じて自然とゲームユーザーの間でバイラルしていったのが強みだと思います。
 
このバイラル性も、ライブ配信に最適化された「ライブゲーミング」体験により加速していきそうです。
Facebookやmixiもプラットフォーム上でプレイできるゲームが登場した後、大幅にユーザーを伸ばしました。ゲームが起点となってプラットフォームが成長していく。今後、Mirrativをそうできたらよいなと考えています。

ユーザーが体験できるゲームをつくるミラティブの開発スタンス


今後はライブゲームを増やしていくということで、ミラティブのゲーム開発に対するスタンスを教えてください。
 
赤川
ライブゲームでは、ユーザーがコミュニケーションを通じて楽しめる場を創るのが重要です。そのため、他のゲーム種類よりも、コミュニケーションの楽しさを突き詰めることの方が、高品質なグラフィック等よりも大事になっていくので、1本あたりの開発費を抑えられるのが大きな特徴です。ユーザーの反応を見ながら、よりユーザーが楽しめるゲームをスピーディーに何度も試行錯誤しながら作っています。
 
コンテンツはすでに多くの魅力的な作品を持つゲーム関連会社さまとタイアップしながら、プラットフォームは世界中のクリエイターと連携して、たくさんの人に楽しんでもらえるサービスを作りたいと考えています。

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