QueryLiftへの投資

by Masaki Yuda

Z Venture Capital(以下、ZVC)は、生成AI上で企業や商品がどのように語られているかを分析し、改善するGEO(Generative Engine Optimization)プラットフォームを展開するQueryLift株式会社(以下、QueryLift)へシードラウンドで出資しました。

インターネットビジネスの歴史は、情報が人に届くメディアの変化を通じてつくられてきました。ポータルがインターネットの入口になり、検索がWeb上の情報を整理し、SNSが人々の発見をフィードへ移しました。

そしていま、生成AIが新しい入口になろうとしています。

この変化で本当に重要なのは、検索ボックスがチャットボックスに置き換わることではありません。企業が顧客に直接説明する前に、AIがその企業について代わりに説明するようになることです。

「どのサービスを使うべきか」「A社とB社は何が違うのか」「自分の条件にはどちらが合っているのか」。こうした問いにAIが答えるようになるほど、企業と顧客の間にはAIという新しい媒介者が入ります。ユーザーが企業のWebサイトを訪れる前に、候補がつくられ、比較され、ときには選択肢から外れます。

検索の世界では、企業にとって重要な指標の一つが語られているページの順位でした。いま問われるのは、AIが自社を何者だと理解しているのか、どのような問いに対して候補として挙げているのか、競合と比較した際に何を特徴として捉えているのか、そして、どの情報を根拠にその回答をつくっているのか、という問いです。生成AIが新しい入口になるのであれば、企業には、その上での自社の状態を観測し、改善するためのプロセスが必要になります。私たちは、この構造変化の中に新しい市場が生まれると考えています。

この領域に正面から取り組んでいるのが、今回ZVCが出資するQueryLiftです。

QueryLiftは、企業にとって重要な問い、つまりユーザーが生成AIに入力する質問を想定し、回答を継続的に観測します。どの問いで候補に入り、何を根拠に引用され、競合とどう比較・推薦され、どのような文脈で語られているか。その変化までを分析し、改善すべきコンテンツの特定から改善案の生成、公開後の効果検証までを一つのプロダクト上で循環させます。

GEOはマーケティングだけの話ではありません。商品の特徴、企業の信頼性、採用情報、政策、IR、ブランドなど、組織が外部に伝えているあらゆる情報が対象になり得ます。AIから自社がどう見えているかは、いずれ企業にとって無視できない経営情報になります。

一方で、まだ確立された正解が多くありません。生成AIのモデルも、検索機能も、情報の参照のされ方も変わり続けます。この市場では、いま有効なテクニックを知っていること以上に、変化の中から新しい法則を発見し続けられることが重要です。

QueryLiftは、生成AIがどのような情報源を引用し、どのように回答を構成しているかを独自に研究、蓄積しており、その成果の一つは、情報検索・知識管理分野の主要国際会議であるCIKM 2026に採択されました。 研究の知見をプロダクトへ反映し、顧客利用で蓄積された知見を再び研究へフィードバックしています。このループを高速に回し続けられることが、ルールそのものが変わり続ける市場での競争優位になると私たちは見ています。

また、代表の野口蒼大さんは、Yahoo! JAPANで検索アルゴリズムや検索クエリに関する大規模データの分析に携わってきました。検索は、Web上の膨大な情報と人をつなぐためのインフラでした。その現場に私たちといたチームが、人と情報のつながり方そのものが再構築されるタイミングで起業しています。QueryLiftという事業の成り立ちには、ある種の必然性を感じています。

LINEヤフーにルーツを持つチームが、「検索」の変化を捉えたサービスを作るというストーリーにも強く共感し、今回の出資に至りました。同じYahoo!JAPAN出身者として、この挑戦にご一緒できることが、個人的にも楽しみです。